第3期会長 鈴木 俊法

 遠い宇宙の星間空間から我々の生体細胞内まで分子は遍在し、分子の構造、物性、反応によって、我々は生き、考え、現代文明を構築しています。分子を対象とした科学は、従来の科学の諸分野を横断する広く豊かな学問領域となる。このことを認識した我が国の研究者は、「分子科学」という新たな学術研究領域を開拓し、活発な活動を行ってきました。本学会にとって最も重要な活動である分子科学討論会は、我が国の研究者が熱い議論を戦わせ、切磋琢磨し、後進を育てながら、世界トップレベルの研究を我が国から発信することに大きく貢献してきました。私達は、この伝統を受け継ぎ、活発な討論を行いながら新しい学術研究の開拓と高みを目指して努力を続けていきたいと思っています。

 一方、科学技術が益々高度になる今日、学術研究活動の意義や成果をできる限り多くの方々に分かりやすく伝えることは、研究に携わる私達の責任であると思います。そして、分子科学会に集う私達の研究への取り組み、情熱、感動的な研究上の発見を専門家以外の多くの方々にお伝えし御理解頂くことができたなら、私達にとっても大きな喜びとするところです。

 私達は、皆様からの様々なご助言を頂きながら、分子科学分野の学術研究の発展、教育の充実、社会への発信に取り組んで参りたいと思っております。今後とも、分子科学会の活動への御理解と御支援をよろしくお願い申し上げます。

2010年9月1日

分子科学会第3期会長 鈴木 俊法