青く瑞々しい地球。宇宙全体からみれば極めて珍しい穏やかな環境と言えるかもしれませんが、このような場で爆発的に進化しうるのが分子です。単原子分子から生体高分子、さらには高次構造分子集団まで、いわば分子多様性のなかに私たちは暮らしています。「分子科学」とは、分子の構造や性質、反応性を深く理解し、遠く星間に漂う分子から生命活動まで、分子が関わるありとあらゆる現象を解明して、さらに新たな分子さえも生み出す科学で、自然科学のさまざまな分野を貫く基幹学問であると同時に、私たちの日常に深く根ざしています。
分子科学会は、分子に関わる様々な分野の研究者や教育者、知識人が集う学会です。情報と人材が行きかう国際的なハブとなることによって、分子科学の更なる発展と、人材育成や社会発信を目指しています。本学会にとって最も重要な活動が「分子科学討論会」です。これには毎年、分子科学会会員と非会員をあわせて1000人以上が参加します。参加者は、最新の研究成果を持ちよって議論し、研究情報を交換することによって更なる発展を目指します。また企業展示などもあり、研究支援情報を得ることもできます。このような討論会の場は、人材交流や育成、研究情報の交換や発信のための絶好の機会となっています。
分子科学会は、皆様からの様々なご助言やご批判を頂きながら、この分野の研究および教育の振興をはかり、これをもって学術と文化の発展に貢献します。今後とも、分子科学会の活動へのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
2012年9月1日
分子科学会第4期会長 阿波賀 邦夫