第5期会長 藤井 正明

 分子科学会第5期の会長を拝命するにあたり、会員の皆様ならびに分子科学にご興味をお持ち下さった方々にご挨拶申し上げます。

 分子は物質の最小単位で、分子の構造、反応、物性はこの世界を知る上でもっとも基本的な情報です。今では化学のみならず天文学から生物学、医学に至る極めて広い範囲の学問領域で分子が取り上げられその役割や性質が研究されています。「分子科学」とはこの分子の構造や性質、反応性を深く理解して制御を可能とし、さらには新たな分子を作り出す事もできる科学で、自然科学のさまざまな分野を貫く基幹学問です。

 私たち分子科学会は分子に関わる様々な分野の研究者や教育者、知識人、学生が集う学会です。分子科学の研究・教育を発展させるため、分子科学討論会など討論の場を提供すると同時に、電子ジャーナルMolecular Scienceやメールマガジン「分子科学会速報」により情報を会員の皆様に提供して人材と情報交流のハブとして機能しております。特に分子科学討論会は本会最大の事業であり、およそ900件の研究発表が1000名を優に超える参加者により討論され、企業展示を含めて分子科学の最先端に触れ、人材交流や育成、研究情報の交換や発信のための絶好の機会になっています。

 分子科学会が発足以来、第1~4期までに様々な基盤が整備され、行事もますます盛んになりつつあります。この5期では分子科学のさらなる発展を目指し、他の学問領域との交流や国際化、そして若手育成にも注力し、これをもって学術と文化の発展に貢献したいと存じます。

 分子科学会の活動へのご理解、ご支援そして忌憚ないご批判とご指導を下さいますよう、今後ともなにとぞよろしくお願い申しあげます。

2014年9月1日

分子科学会第5期会長 藤井 正明